2015.12.26

柔道整復理論からみる・むち打ち損傷⑩腕神経叢麻痺治療法

治療法 変性を免れた神経は、自然回復が望めるので、保存療法にてに治療していく 腕神経叢を弛緩させた状態(引っ張られないような姿勢)で安静に保つのが重要なため 腕を外に開く、いわゆる敬礼の姿勢に固定をして、拘縮防止(固まらないように)のため手技療法や温熱療法、低周波の治療を行う。 回復の期待できる可能日数は約1年半といわれている。 その間には、注意深く経過を観 察し、再生・回復の徴候のみられないものなどについては 手術的な手段を考えていく 自然回復がほとんど期待出来ない場合、神経の移植術などにより 損傷部の再建が可能な症例なのか、それが不可能な前述の神経根引き抜き損傷なのかを早急に判断し 適切な治療をしなければなりません。 手術では、腕神経叢を開き、再建が可能であろう症例には神経移植術を行い、再建が難しい神経根の引き抜き損傷例症例では肋間神経や副神経の神経の移行術を行います 神経回復が望めない症例、回復が困難な症例に対する肩の機能再建術として、上腕骨と肩甲骨を固定して肩関節を動かないようにして、肩甲骨の動きで肩全体を動かす肩関節固定術、麻痺していない肩周囲の筋を移行し、肩関節の動きの補助をさせるための多数筋移行術が行なわれます。肘関節の屈曲機能再建(肘を曲げる動きの再建)には、胸の大胸筋や背中の広背筋などを麻痺がおこっていなければ、どちらかの移行術が行われる。 上位型での手関節屈筋(手を手のひら側に曲げる筋肉)と手指屈筋(指を曲げる筋肉)が麻痺を起していなければ、これらの筋肉の上腕骨内側上顆(肘の内側)の起始部を上腕骨遠位前面(肘の谷側)に移行するスタインドラー手術も行われる 全型の例では、肋間神経や副神経への移植の際に神経・血管茎付き遊離筋移植を行い、肘屈曲(肘を曲げる)、手指の伸展(指を伸ばす)、などの屈曲機能(曲がるようになる機能)の獲得を目指す方法もあります ここまで来ると、町の整骨院・整形外科ではなく 大きな病院でないとできない治療ではないかと思われます。 当院でできる範囲も、拘縮予防、予後のリハビリ(筋肉をつけるような運動ではなく拘縮を弛緩させるような) しか、ないと思われます。 ちなみに、今回は整形外科学も入っています。